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<第16回開催報告(速報)>


JCTBF事務局


 
中国国務委員劉延東氏が第16回博覧会開幕を宣言

  
「中国の農業オリンピック」と称される第16回博覧会の概観

 毎年11月に中国陝西省の楊凌で開催され、今年で第16回目を迎える中国最大の農林水牧国際博覧会「中国楊凌農業ハイテク成果博覧会」が、今年は2009年11月1日(日)~5日(木)に盛大に行なわれ、成功裏に幕を閉じた。

 「中国楊凌農業ハイテク成果博覧会」は、中国科学技術省や農業省、商務省をはじめとする16以上の中央省庁が主催し、農業分野の中国最大の国際博覧会として世界各地から注目されているが、今年も中国各地はもとよりカナダ、イスラエル、オランダ、日本など19余りの国と地域の1100余りの企業等からの出展や参加があり、開催期間を通しての熱気は、まさに『中国の農業オリンピック』と称されるにふさわしい賑わいであった。

 今年の博覧会テーマは「科技引領、創業推動、現代農業(科学技術による牽引、創業推進、現代農業)」である。同博覧会組織委員会の開催報告によると、多彩な展示、国際協力等をテーマとする各種フォーラム、技術成果発表会、商談会、諮問研修会、コンテストなどの6カテゴリーの76のプログラムはすべて予定通りに行われたという。中国内外から集結した5000余りの技術成果やプロジェクトに関する商談が実施され、8000余りの新品種、新技術、新商品が展示された他、「ローカル農業イノベーション展示会」や、「国家地理マーク保護商品展示会」など10の特定テーマ別展示会も併催された。成立した取引総額は226.8億元(約3000億円)に達し、その中で海外からの投資金額は2.76億米ドルに上ったという。

 また、国際協力・食の安全・政策など多彩なテーマで展開する「国際農業サミット」、世界をリードする農業専門家や科学技術者で創られる「国際農業科学技術フォーラム」、「2009アジア太平洋農業関連製品国際フォーラム」、「中国・カナダ・イスラエル農業科学技術イノベーション協力週間」など多彩なイベントが開催された。特に太陽エネルギーや再生エネルギーなどの「新エネルギー」に着目した特別展示が設けられたことも、中国における時代のニーズを強く感じさせた。
 
 今年は昨年に比べて全体規模が20%拡大したと報じられており、また開幕式には中国国務委員劉延東氏や科学技術大臣万鋼氏といったトップクラスの中央要人が久々に臨席されたことからも、ますます高まる中国農業への注目・期待度が明らかとなった。

  
初参加となるオランダの出展開館式インタビュー
右:JCTBF代表団事務局が陝西テレビ「農業大市場」チャンネルの取材に応じる

日本からの出展ブースにも、多方面からの来場者が殺到

 今年は海外からの出展を中心とする新たなエリアとして、敷地内に新たに「国際館」と呼ばれる新館(E館)が設けられ、海外からの出展を後押しした。11月2日午前に、初参加とかるオランダ代表団の開館式も行われたことも話題を呼んだ。

 今年もカナダブースの隣に位置する日本JCTBF代表団ブースは、日中テクノビジネスフォーラム(JCTBF)が同博覧会組織委員会との共催により企画・主催したもので、広めのブース内に日本からの12の企業及び団体からの展示が行なわれた(参加者一覧参照)。中でも、実物展示のあったエア・ブラウン株式会社の残留農薬検査キット「アグリスティック」や、G&Fコーポレーションの「無動力節水灌水装置」は多くの来場者の高い関心を呼び、多くの質問を集めたほか、株式会社高島循環農業センターの「(堆肥発酵プラント)根圏活力発酵システム、有機農法」のDVD展示エリアの前にも人が押しかけ、中国各地からの技術者や研究者、経営者やビジネスマン、政府関係者やメディア関係者といった来場者が興味深く画面に見入り、人が途絶えることがなかった。
 
 その中でも、実物・実演出展を行なった株式会社微量元素研究所の「光合成増強資材、肥料、ミネラル水精製器」のブースには終始多くの来場者が殺到し、休む間もないほどの活況ぶりで、水事情に課題を抱える中国の来場者が水の飲み比べ試飲をし、目を輝かせて話に聞き入る姿が印象的であった。

 また、日本JCTBF代表団ブースには陝西テレビ「農業大市場」チャンネルや、西安テレビ「特別報道」チャンネル、また中国の全国紙「農業科技報」(農業科学技術新聞)など、各メディアからの取材が相次いだ。さらに、ひときわ賑わいを見せていた株式会社微量元素研究所ブースでは、営業部長の藤戸秀男氏が西安テレビから取材を受け、商品の特徴についての説明や、大きな反響についての感想などを述べた。

 JCTBF事務局関係者は初日と2日目の2日間のみ、日本JCTBF代表団ブースでの現場対応を行なった形であったが、楊凌国家農業ハイテク産業モデルゾーン招商局李局長のご案内で、多忙な中わざわざ時間を割いて日本ブースに来られた中国商務省外国貿易発展事務局張局長も言われたように、「博覧会はきっかけ作りのステージであり、共演の序幕である。縁のある人は限られたこの場で会えなくても、いつかどこかで協働的に響く」ということは確かであろう。また帰国後間もなく、残りの3日間についても現地から来場者情報が届けられてきており、これは事務局としても喜ばしいことである。

 
左:中国商務省外国貿易発展事務局長張氏(中)らと日本JCTBF代表団ブース前にて
右:株式会社微量元素研究所ブース前でのワンシーン

楊凌現代農業モデルエリア視察ツアーにも参加

 今年は前述した「国際館」の新設だけでなく、屋外展覧エリアとして従来から設けられていた「農業機械展示エリア」のほかに、新たに「楊凌現代農業モデルエリア」が設けられ、一般公開された。これは、中央政府からの「継続的に国家農業ハイテク産業モデルゾーンを建設する」という方針に従って、モデル性、見える化、収益性、規模、循環性、生態型といったキーワードを一体化する狙いで建設されつつあるもので、今回の博覧会での最大の見所であるとも言われている。
 
 開催2日目となる11月2日午後には、日本JCTBF代表団ブース関係者が用意された専用バスに乗って上記「モデルエリア見学ツアー」に参加した。ツアーは博覧会出展者等を対象としたもので、専任ツアーガイドの説明とともに、全体で4平方キロの面積を有する楊凌現代農業モデルエリアを巡るものである。
 
 楊凌現代農業モデルエリアは「一軸、一心、八園」という構想で設計されている。「一軸」とは「景観軸」といい、モデルエリア全体として景観を重視することである。「一心」とは「服務中心」(サービスセンター)を指すものである。また「八園」とは同モデルエリアの中で、現代農業イノベーション園、国際科学技術協力園、種苗産業園、標準化生産モデル園、科学技術探索園、農業製品加工園及び物流園を指し、今年は現代農業イノベーション園をはじめとする五つの園が公開され始めた。
 
 博覧会会場から少し離れた位置にあるモデルエリアにたどり着くと、道路が整備された広大な土地に、キウイなどの緑が目立つほか、中国独特のビニールハウスが立ち並び、また近代的な展示館なども広々と建設されていた。ツアー一行はまず始めに、実際にビニールハウスの中に入って施設見学を行なった。ハウス内の栽培用地を南に向けて日中の採光を強め、反対に北側は土を盛って固めるという中国独特のビニールハウスの中では、散水用の配管が整えられており、また雨水を無駄なく利用できるような屋外設計も特徴的で、ツアー一行の目を引いた。
 
 次に、種苗産業園を訪れ、何のために設けられたか、育てられた種苗はどこへ出荷されているのか、どこまで目標としているのか、どのような成果が見えてきたかなどについて話を伺った。さらに、現代農業イノベーション園等、立ち並ぶ5つの展示館の内、現代農業創意館や西部特色館を見学し、中国で拡大しつつあるクリーンで近代的な農業技術の一端を目にした。時間の関係で全部の展示館を回れなかったのは残念であるが、次の機会にはまたぜひ訪れたいと、見学ツアー参加者一同は感想を述べた。
 
 中国最大の農林水牧国際博覧会「中国楊凌農業ハイテク成果博覧会」はいまもう幕を閉じたが、中国における現代農業、バイオ農業、環境保護型農業や生態重視型農業の一角を鮮明に映す大舞台の余響はいまなお続いている。


写真:JCTBF事務局、同博覧会事務


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