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ハイテク産業の起源:火炬計画|関連政策等の動向|参考メモ:日本の対中政策等


国家中長期科学技術発展規画綱要
転載元:WINEP

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九、科学技術投入及び科学技術インフラ

 科学技術投入及び科学技術インフラは科学技術創新の物理的な基礎であり、科学技術の持続的な発展の重要な前提である。今日の科学技術投入は、将来の国家競争力に対する投資である。改革開放から、我が国の科学技術投入は絶えず増大してきた。しかし、我が国の科学技術事業の大幅な発展と全面的小康社会の建設のための重大ニーズと比較すると、また先進国及び新興工業化国家と比較すると、我が国の科学技術投入の総量と強度には依然として不足がみられ、投入構造は全てが合理的とはなっておらず、科学技術の基礎条件は薄弱である。現在の先進国及び新興工業化国家は、科学技術投入の増加を国家競争力を高める戦略的措置とみなしている。我が国もこうした時代の趨勢に対応することが必要であり、国家の自主創新能力とコア競争力を増強するため、科学技術投入を大幅に増加し、科学技術インフラの建設を強化して、当綱要が提起した重大な任務を完成するために必要な環境を提供する。

1.多元化、多ルートの科学技術投入体系の構築

 政府は、科学技術投入における牽引役となることが必要であり、財政の直接投入や、税収優遇等の多種の財政投入の方式を通して、科学技術投入を増加し、社会における科学技術資源の配分を調整する能力を増強することが必要である。国家の財政投入は、市場メカニズムでは解決できない基礎研究、先端技術研究、社会公益研究、重要基盤技術等の公共科学技術活動に主に用いることとし、併せて企業と全社会からの科学技術への投入を促す。中央と各レベルの地方自治体は、《中華人民共和国科学技術進歩法》の要求に従い、年初予算の編成及び補正予算の編成に当たり、法定の増加要求を実現し、科学技術経費の伸び幅(伸び率)が明らかに財政の経常収入の伸び幅より高いことを保証し、徐々にGDPに対する国家の財政性科学技術投入の比率を高める必要がある。国家財力の情況をにらみつつ、本規画の実施に必要となる経費をバランスよく確保し、重大特定プロジェクトの順調な実施を確保する。国家は重大な科学技術インフラの建設に対する投入を引き続き強化して、中央と地方の建設投資の中で重点として支援を与える。政府が科学技術投入を増加すると同時に、企業の科学技術投入における主体的地位を強化する。要するに、多方面の努力を通して、国全体の科学技術投入のGDPに対する比率が年々高まるようにし、2010年までに2%、2020年までに2.5%以上を達成する。

2.資金投入体制の調整及び最適化、科学技術経費の使用効率の向上

 基礎研究、先端技術研究、社会公益研究、科学技術インフラ、科学技術普及に対する支援を強化する。科学研究機関(基地)を正常に運営する経費、科学研究プロジェクトの経費、科学技術インフラの経費等の割合を合理的に手配して、基礎研究及び社会公益に関する研究を行う研究機関に対する投資量を安定的に増大させ、科学普及経費を同クラスの財政予算に組み込み、徐々に科学普及への投入レベルを高める。科学研究に対する規則と科学技術作業の特徴に適応する科学技術の経費管理制度を建設、完備し、国家の予算管理規定に従って、財政資金使用に係る規範性、安全性、有効性を高める。国家の科学技術計画管理の公開性、透明性、公正性を高め、財政の科学技術予算の評価体系を段階的に構築し、健全で相応する評価監督管理システムを構築する。

3.科学技術インフラの建設の強化

 科学技術インフラは、情報、ネットワーク等の技術の支えのもとで、研究実験基地、大規模科学施設・設備、科学データ・情報、自然科学技術資源等で構成され、効果的な配置と共有を通して、全社会の科学技術創新を支えるシステムとして機能する。科学技術インフラの建設の重点は、次のとおり。

 国家研究実験基地。国の重大な戦略ニーズに基づき、新興の先端的かつ学際的な領域及び我が国の特色ある優位領域において、主に国の科学研究機構と研究型大学に委託して、精鋭が集い、高レベルな、学際的な国家実験室及びその他の科学研究実験基地を設立する。国家重点実験室の建設を強化するとともに、その運営と管理のレベルを高めるよう不断に努力する。国家野外科学観測研究ステーションのネットワーク体系を構築する。

大規模科学エンジニアリング施設。科学機器・設備が科学研究に及ぼす影響を重視して、科学機器・設備、検査・測定技術の自主研究開発を強化する。大規模科学エンジニアリング施設を建設する。これは、高性能計算、大規模空気動力研究試験及び極限条件用の科学実験等の大規模科学エンジニアリング又は大型インフラを含む。大規模科学器具、設備、施設の共有と建設を進めて、徐々に全国的な共有のネットワークを形成する。

 科学データ•情報のプラットフォーム。近代的情報技術の手段を十分に利用して、科学技術資源の情報化の元となるデジタル科学技術プラットフォームを建設し、科学データと文献資源の共有を促進して、ネットワーク科学研究環境を構築し、全社会に向かってサービスを提供し、科学研究の手段、方式の変革を推進する。

自然科学技術資源のサービスのプラットフォーム。植物、動物の種苗資源、微生物菌種及び人類遺伝資源、並びに実験用材料、標本、鉱石、化石等の自然科学技術の資源の保護及び利用システムを構築する。
国家標準、計量・測定技術体系。高精度で高安定性の計量標準及び標準物質に関するシステム、重点領域における技術標準、検査・測定実験室システム、認証システム及び技術性貿易措置システムを研究し制定する。

4.科学技術インフラの共有システムの構築

 効率的な共有制度は、科学技術インフラが有効に機能する鍵であり前提条件である。“統合、共有、完備、向上”の原則によって、国外の成功経験を参考にして、各類の科学技術資源の標準規範を制定し、科学技術資源の共有を促進する政策法規体系を構築する。異なるタイプの科学技術資源の特徴に対応して、柔軟で多様な共有方式を採用し、現在の相互に分断され、閉鎖的で、重複分散した構造を打破する。

     
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十、人材の育成

 科学技術の創新において、人材が基本である。人材資源は元々最も重要な戦略資源である。人材強国戦略を実施し、科学技術人材の人員育成を強化を着実に進め、本綱要を実施するため必要となる人材の確保を図ることが必要である。

1.世界最前線レベルの高度な専門家の育成の加速

 重要科学研究、その設立プロジェクト、重点学科、科学研究基地、及び国際的な学術交流・協力プロジェクトの実施を通じて、学術分野のリーダーの育成に力を入れ、積極的に創新人材グル-プを組織する。戦略科学者、科学技術のマネージメント専門家の発掘、育成を重点的に進める。重要コア技術領域の高級専門家に対して特別な政策を実行する。科学研究における年功序列と目先の利益を追う現象の排除を更に進め、中青年の高級専門家を迅速に育成する。職名制度、院士制度、政府特殊手当制度、ポスドク制度等の高レベルの人材制度を改善、改革を進め、高級専門家を育成・選抜する制度体系の構築を更に進めて、優秀な人材を大量に発掘する。

2.創新人材の育成に資する教育体系の構築

 科学技術の創新と人材育成の有機的な結合を強化して、科学研究機構と大学・高等専門学校の協力を奨励し、研究型人材を育成する。大学院生が科学研究プロジェクトに参画又は担当することを支援して、本科生に科学研究の仕事に従事するよう奨励し、創新実践の中で彼らの探求の興味と科学精神を育成する。大学・高等専門学校は、国家の科学技術の発展戦略と市場の創新人材に対するニーズに適応して、時宜にかなった意義のある学際的な学科、新興学科を設け、専門構造を調整する。職業教育、継続教育、育成訓練を強化して、経済社会発展ニーズに適応する各種の実用技術専門の人材を育成する。小中学校の教育内容と方法の改革を深化させ、素質教育を全面的に推進し、科学文化の素養を高める。

3.企業による科学技術人材の育成及び確保の支援

 国家は、企業に、高レベルの科学技術人材を雇用し、優秀な科学技術人材を育成することを奨励し、これを政策的に支援する。科学研究機構と大学・高等専門学校の科学技術者が、実ビジネスに身を投じ、創新創業することを奨励し、引導する。大学・高等専門学校と科学研究機構の科学技術者が、企業に籍を置き、兼業として技術開発を行うことを許可する。大学・高等専門学校の卒業生が企業に就業するよう引導する。企業と大学・高等専門学校、科学研究機構が、共同して技術人材を育成することを奨励する。多様な方式、多様なルートで企業の高レベルエンジニアリング技術人材を育成する。国有ハイテク企業が、中核技術人材及びマネージメント人材に対してストックオプション等のインセンティブ政策を実施することを許可し、知識、技術、マネージメント等の要素の参与と分配に関する具体的な方法を検討し設定する。企業が外国籍の科学者とエンジニアを招聘し受け入れることを支援する。

4.留学生及び海外の高レベル人材の誘引力の強化

 優秀な留学人材の帰国を促進し、国の仕事に従事させるための計画を制定し、実施し、高レベルの人材と不足している人材を重点的に誘引する。多様な方式により、海外留学生の特徴に合わせて誘引のメカニズムを構築する。高レベルな留学人材の帰国に係る資金を支援する制度の充実を図る。海外留学生の創業基地建設を強化する。留学人材を国の仕事に従事させる健全な政策措施を完備させる。高レベルな人材向けの公開招聘に力を入れる。実験室の主任、重点科学研究機関の学術リーダーとその他の高級科学研究機構は、徐々に国内外での公開招聘を実施する。誘引力のある政策措置を実行して、海外の高レベルの優秀な科学技術人材が中国を訪れ仕事に従事するように誘引する。

5.創新人材を育む文化環境の構築

 一生懸命に頑張って向上しようと努力や自己献身的な愛国精神、事実に基づいて正しく行動し勇敢に新機軸を打ち出そうとする科学的な精神、団結して協力し名誉や利益に無関心な集団精神を提唱する。理性的な懐疑と批判、個性の尊重、失敗に対する寛容を提唱し、学術の自由と民主を提唱し、思い切った探求と勇敢な突出を奨励し、新しい理論と学説が大胆に提出されることを期待する。創新思想を奮い立たせて、学術の雰囲気を活発にさせて、努力してゆったりと調和がとれていて、健康の向上する創新文化の雰囲気を形成する。科学研究に係る職業道徳の構築を強化し、科学技術の研究の中の浮ついた気風と学術の不良な気風を抑制する。

 国家中長期科学技術発展規画綱要は、対象範囲が広く、対象時間が長く、要求内容が高いため、その実施に当たっては、組織指導と全体統制を強化し、有効な措置を的確に採用し、次の各任務の実行を確保することが必要である。

 一、本綱要と“十一五”国民経済社会の発展計画の接続を強化することが必要である。綱要の可操作性を強めるため、当面綱要の関連内容を軽重と緩急に応じて、“十一五”国民経済社会の発展計画との結びつけをしっかりと行う。優先課題、重大特定プロジェクト、先端技術、基礎研究、科学技術インフラの建設と科学技術の体制改革等が対象であり、その中から緊急のもの、あるいは“十一五”の期間に解決が必要とされる重点事項を選択し、“十一五”国民経済社会の発展計画の中で具体的に手配し措置することが必要である。

 二、パッケージで政策を制定することが必要である。綱要が定めた発展目標、重点任務、政策措置に方向性と指導性を持たせるため、確実かつ実行可能な実用性の強い政策パッケージを制定することが必要である。これには、次のことを含む。企業が技術創新の主体となるのを支援する政策。輸入技術の消化、吸収、再創新を促進する政策。自主創新を奨励するような政府調達政策。科学技術への投入を増大し、投入資金の使用効率を向上させる政策。科学技術の体制改革を深化させ国家の創新体系の構築を推進する政策。ハイテクの産業化を加速する政策。科学技術人材の育成を進める政策。軍民結合、軍民転換を促進する政策等。上述の政策は関連部門が先導し、関連部門が参加するように責任を課して、十分な調査、検討の基礎の上で、科学技術政策と産業、金融、財政税制等の経済政策とを相互に強調させ、緊密に結合させて、可及的速やかに実現させることが必要である。

 三、綱要の実施のためのダイナミックな調整メカニズムを構築すること。世界の科学技術の発展は急激であり、国内の経済社会の発展は絶えず変化しているため、経済社会分析、技術予測及び定期的な評価の基礎の上で、綱要の実施のためのダイナミックな調整メカニズムを構築する。綱要が設定した発展目標、重点任務は、国内外の科学技術発展の新たな趨勢、ブレークスルー及び我が国の経済社会の発展の新たなニーズに応じて、適時適切に必要な調整を行い、あるものは充実・強化し、あるものは適切に調整することが必要である。

 四、綱要の実施のための組織指導を強化すること。党中央、国務院の統一した指導者の下で、存分に各地方、各部門、各社会の団体が積極性と主動性を発揮し、大いに協力して、共に綱要の実施を推進することが必要である。特に国家科学技術管理部門、発展改革部門、財政部門等の総合管理部門は密接に協力して、適切に責任を負って、具体的な指導を強化する。各省、自治区、直轄市は当地の実情に応じて、綱要を徹底的に実行する。

 本綱要の実施は、全面的小康社会を建設する目標の実現に関係し、社会主義現代化建設の成功に関係し、中華民族の偉大な復興に関係するものである。胡錦涛同志を総書記とする党中央の指導の下で、我々は、鄧小平理論と「三つの代表」の重要な思想を指導理念として仰ぎ、信念を固め、発奮し、創新型国家建設のために、我が国の科学技術の発展の雄大な青写真が実現するよう奮闘しようではないか!(完)

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