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国家中長期科学技術発展規画綱要
転載元:WINEP

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七、科学技術体制改革及び国家創新体制の構築

 改革開放以来、我が国の科学技術システムにおける改革は、科学技術と経済の相互の結合をめぐり、科学技術創新の強化、技術成果の転化と産業化を促すことを目指し、システムの構造調整と転換を重点として一連の重要な改革を実施し、大きな発展を確実に遂げてきた。一方、我が国の現在の科学技術システムには、社会主義市場経済システム及び経済や科学技術の発展のニーズに合致できないところが多く存在しているため、それを正確に見通さなければならない。一、企業はまだ技術創新を担う真の主体ではなく、自主創新の能力が強くない。二、各領域における科学技術の研究は、それぞれ独立した体系となっており、分散かつ重複な部分が多くあり、全体的な運営効率が低く、社会公益分野における科学技術の創新能力が特に弱い。三、科学技術のマネージメントに当たって自部門の政策を優先的な地位に置いており、科学技術資源の配置方式、評価制度等が科学技術の新動向と政府の機能改革の要求に対応することができていない。四、優秀な人材を励まし、改革と創新を奨励するシステムがまだ完備されていない。このような問題が、国家全体の創新能力の向上を著しく束縛している。

 科学技術システムの改革の深化を図るに当たっての指導的な方針は次のとおりである。国家的な目標の達成を確保し、科学技術者の能動性と創造性を高めることを出発点として、重点を全社会における科学技術資源の効率的な配置と総合能力の向上に置く。企業を主体とし、生産、開発、研究を結びつけた技術創新システムの育成を突破口とし、中国の特色ある国家創新システムの建設を全面的に推進し、国家の自主創新能力の大幅な向上に努める。

 今後の科学技術の体制改革に関する重点的な任務は、次のとおり。

1.企業を技術創新の主体とすることの推進

 市場競争は技術の創新を推進する重要な動力であり、技術の創新は企業自身の競争力を高めるための基本的な道である。改革開放の推進につれて、我が国の企業は技術創新の分野においてますます重要な役割を果たすようになった。今後は、競争環境の改善と改革の深化を一層促進し、技術創新における企業の生命力の強化に確実に励む。

 第一、経済と科学技術政策の指導的な役割を発揮させ、企業を研究開発の主体とする。市場の経済環境を、統一的、開放的、競争的かつ秩序的なものに整え、財政税制や金融等の政策に基づき、企業の研究開発に対する投入を奨励し、企業、特に大手企業において、研究開発部門の設立を促進する。開発の技術や実力のある研究部門又は大企業と連携し、大学や研究院の力を借り、国家エンジニアリング実験室と業界エンジニアリングセンターを設立する。企業と大学や研究院等の間に技術創新の専門機構を設立し、技術創新の能力を強めるようにする。

 第二、科学技術計画による支援の方式を改革し、国家の研究開発の課題を企業が担当することを支援する。国家的な科学技術計画については、企業側の技術に対するニーズをより多く反映させ、企業の参加を更に促すことが必要である。市場応用の将来性が高い分野において、企業が率先的な役割を果たし、大学と研究部門がその実施に協力するという効率的なシステムを構築するように努力する。

 第三、技術移転に関する政策を整備し、企業への技術の集中と応用を促進する。知的財産権の奨励と取引に関する制度の整備を更に進める。企業に科学技術の情報を提供する各種のサービス部門の発展を支持し、企業と企業の間、又は企業と大学や専門の研究部門との間で行われた知識の交流と技術の移転を促し、国家重点実験室やエンジニアリング(技術研究)センター等を企業に開放する必要がある。

 第四、近代化企業制度の改革を速め、企業における技術創新の内在力を強化する。技術創新の能力を、国有企業を評価する時の重要な基準とし、技術的な要素を配分の一要因とすることはハイテクベンチャーの所有権制度改革の重要な内容とする。応用・開発関係の研究部門を企業化するという改革方向を貫き、企業化の際の研究部門の所有権に関する改革を深め、ハイテク技術の産業化と技術の創新に寄与するように、完備した管理システムと合理的、効率的な奨励制度の形成を図る。

 第五、創新に相応しい環境を作り、中小企業が行う技術創新を支援する。中小企業、特に科学技術を中核とした中小企業は、創新の生命力を持っているが、創新のリスクに耐える能力が相対的に弱い。従って、中小企業にとってより有利な政策を作り、市場参入や不当競争の面において中小企業に有利な法律と政策を制定し、中小企業の科学研究に関する融資システムとリスク投資システムの発展を支え、中小企業の技術創新にサービスを提供するために、科学技術に関係する仲介部門の完備を速めることに努める。

2.科学研究機構の改革、近代的な科学研究機構の制度の確立

 基礎研究、先端技術研究と社会公益研究を担当する科学研究機関は、我が国の科学技術創新上の重要な力である。国家的目標の達成と科学技術の研究に努める科学研究者の育成は、我が国の科学技術の発展に決定的な意味を持っている。部門構造の調整と人材の有効的な利用等、長年の改革を通じ、我が国には優れた科学研究機関が多く設立されており、それに対して、国家は安定的な政策支援を提供する。科学研究機関の役割を充分に発揮させるため、創新能力の向上を目指し、体制や制度の整備に重点を置き、管理システムの改革を更に深め、「明確な責任、科学的な評価、秩序的な開放、規範的な管理」のある近代的な科学研究制度の実現を促進する必要がある。

 第一、国の与えた職責を確実に守り、科学研究機関の整備を強める。今までの責任不明や研究力分散、創新能力不足等の状況を確実に改善し、研究の資源を効率に配置し、優勢のある学科と専門的な研究機関を築くため、研究の資源を集中するようにする。社会公益に関連する科学研究機関は、技術上の優勢を発揮し、科学技術の創新とサービスの能力を向上することによって、社会の発展に伴って起きる重大な技術問題を解決し、基礎科学や先端技術を研究する部門は、学科の優勢を発揮し、研究のレベルを高め、理論と技術を創新することによって、重大な科学技術問題の解決を図る。

 第二、技術創新を確保するための資金投入制度を安定させ、積極的に支援する。学科と研究者のチームの建設、及び創新上で獲得した大きな成果は、長年の努力の結晶である。基礎研究、先端技術研究と社会公益研究を担当する科学研究機関に対して、国家から研究資金を提供し、安定的な支援を与える。科学研究機関の現状に従い、一人当たりの研究費を増やし、長期研究の必要がある学科、研究施設及び研究者を支えるようにする。

 第三、自主的な技術創新を確保するために、有利な施策を立てる。研究課題の自主的選択は、科学研究機関自身の創新能力の向上、及び研究者の育成において重要である。科学研究機関による研究課題の自主的選択を支え、研究機関の責任を明確にする制度を整備し、科学技術の研究費や人事制度等の面において、所属する研究機関の決定権を拡大し、部門内部の資源の集中を可能にして、技術創新の能力を向上させる。

 第四、科学研究機関の創新能力を全体的に評価する制度を立てる。科学的かつ全面的な評価システムを作り、研究成果の質、研究者の育成、組織運営等の面から全体的な創新能力を評価し、科学研究機関のマネージメント水準と創新能力の向上に努める。研究機関の間で自由に連携できるような政策を実施する。正職員だけでなく、非常勤職員も適宜採用することができる人事制度を実施する。雇用制の実行とポスト毎に管理を行い、社会に向かって科学研究とマネージメントの人材を公開募集する。この政策を実施することによって、科学研究機関と企業や大学との協力関係を結びつけ、知識の交流や人材の育成及び資源の共有を促進する。

 大学は我が国がハイテク人材を育成するための重要な基地として、基礎研究とハイテクの創新をリードする力であり、国民経済における技術問題を解決し、技術の応用と研究成果の転化を実現させる主導役である。高水準大学、特に世界的に知られる研究型の大学の建設は、我が国の技術創新の深化と創新システムの構築にとって必要である。我が国には、相当な規模を持ち、学科と人材の資源を備える高水準の大学が多く建てられており、科学技術の創新にその役割が果たせるようにする。基礎研究や、先端技術研究、社会公益研究等の分野における大学の創新を支援し、大学と企業や研究機関との提携を進め、国家や地域、産業の発展を更に促進することに努める。重点学科の発展と科学技術の創新のプラットホームを構築し、各学門分野において世界をリードしている水準を持つ人材の育成と募集に努め、学力、創造力と競争力の強い大学レベルの教師の育成に力を入れる。大学の内部で実施されている管理体制の改革を進めるようにする。大学内部における教育と研究のバランスを調整し、運営方式と管理制度を革新し、科学的かつ全面的な評価システムを作り、人材の素質と創新能力を向上させるような人事運営システムを構築して、中国の特色ある近代的な大学制度の発展に努める。

3.科学技術管理体制の改革の推進

 我が国が現在科学技術の管理に存在している問題点を目安として、科学技術管理システムの改革を推進する。国家レベルの科学技術政策の決定制度を改善し、制度や体制上の欠陥を取り除き、機関の間、地域の間、又は機関と地域の間、軍事と国民の間の関係を調和し、技術資源の分配水準及び大型研究活動の組織力を高めるようにする。それが改革の重点である。具体的な計画として、

 第一、国家レベルの科学技術政策の決定制度を確立する。国家レベルの研究課題や政策を決定する際の審査過程を改善し、情報提供、政策の決定を標準化とする。国は科学技術の発展に対する全体的な配置と管理を強化し、重要な政策の制定や重大な科学技術に関する計画の実施及び基礎施設の建設について計画案配を強める。

 第二、国家レベルの科学技術の制御システムを確立する。国の公共政策における科学技術政策の基礎的な地位を確立し、技術創新の促進と創新能力の向上という目標に基づき、科学技術政策と経済政策を調和的に結びつけた政策システムを作り、各機関の間でも研究資源の配置に関する制御システムを立てるようにする。国の行政管理機関の機能を変更し、法律に従って政策を行い、全体的な管理能力とサービスレベルを高める。計画管理の方式を改善し、計画管理と実施管理における各機関や各地域の役割を果たす。

 第三、科学技術プロジェクトの審査と評価に関する制度を改革する。科学技術プロジェクトの審査は、公正、公平、公開と創新の奨励という原則を守るべきであり、また各分野の人材、特に若い人材の登用に適合した環境を構築する。重大プロジェクトを評議し審査する時、国の目標を体現したものでなければならない。同業での専門家より審議を行う制度を改善し、審議に参加する専門家への信頼を向上させる制度を作り、同業の外国人専門家でも評価に参加できるようにする制度を作成し、評価と審査の過程に対する監督を強め、評価実施の公開度を上げ、評価参加者の影響力を拡大する。創造力の高い小プロジェクト、異議のあるプロジェクト及び学際的なプロジェクトに対して、特別な注目と支持を与え、科学技術の研究者と研究チームの素質、能力、研究レベルに評価の重点を置き、独創的な創新を奨励する。国家レベルの科学技術プロジェクト、知識創新プロジェクト、自然科学基金支援計画等に対し、実施状況を評価する制度を特別に構築する。

 第四、研究成果の評価と奨励の制度を改革する。各創新活動の特徴に基づき、公開公正、科学規範、節約効率という原則に従い、研究成果の評価制度と評価基準を整え、評価の回数が多過ぎるという現象を修正し、目先の利益ばかりを求めたり、又は将来性のない研究を排除するようにする。市場向けの応用研究や実験開発の創新活動については、独自の知財権の獲得及び産業競争力の向上を評価のポイントとする。公益的な科学研究は、公衆のニーズと社会的な効果を評価のポイントとする。基礎研究と先端的な研究は、科学上の意義と学術上の価値を評価のポイントとする。研究分野や性質がそれぞれ異なった研究者に対応するような評価システムを作り、国の科学技術研究に対する奨励制度を改革し、奨励の数量と名目を削減し、政府の奨励項目の重点を突出させる。研究プロジェクトに奨励を与えると共に、優秀な人材に対する奨励も重視する必要があり、また、民間に対して、社会行為を規範化にすることを目指し、奨励を与える。

4.中国の特色ある国家創新体系の構築の推進

 科学技術体制改革を深化する目標は、国家創新システムの推進と向上である。国家創新システムとは、政府を主体に、市場の資源配分の基礎的役割や、各研究機関との連携と交流を効果的に果たせるような社会システムである。中国の特色ある国家創新システムの重点は次のとおり。

 一、企業を主体に、産学研の結合した技術創新システムを構築することに努め、それを国家創新システムの向上の突破口とする。技術創新の市場方向を捉まえ、産学研の力を効果的に集め、国の競争力を確実に強めるためには、企業を創新の主体としなければならない。産学研の結合は、研究資源の効果的な配分、研究機関の能動性の向上、及び企業側の創新能力の獲得に寄与する。従って、企業自身の創新能力を大幅にアップさせると同時に、研究機関や大学が企業を中心に技術上のサービスを提供する産学研が結合した新体制を構築する必要がある。

 二、科学研究と高等教育の結合した知識システムを構築する。開放的、自由的、競争と協力のある運営システムの形成を中心に、研究機関の間や、研究機関と大学との間の連携及び資源の集中を促進する。社会公益科学研究の発展を進め、研究型大学の建設を促し、高水準でかつ資源共有の基礎科学や先端研究を担当する専門機関の形成に努める。

 三、軍事と民間の力を結合した国防科学技術創新システムを構築する。全体的な管理、戦略と計画の発展、研究開発、科学技術の産業化といった面において、軍事と民間との科学技術の結合を促進し、軍民両用技術の開発を強め、全国の優れた科学技術の力を国防科学技術の創新へ提供し、国防科学技術の研究成果を速やかに民間に転化するという好循環を形成することに努める。

 四、特色と優勢のある地域創新システムを構築する。地域経済と社会発展の特色や優勢を結合し、地域創新システムの向上と創新能力の向上を統一して計画案配する。地方の科学技術システムの改革を深め、中央と地方の科学技術研究を効果的に結合させることに努める。大学、研究機関及び国家ハイテク産業開発区に、地域創新システムにおける重要な役割を発揮させ、科学技術の創新の地域経済社会の発展に対する影響力を強化する。中部、西部の地域にある科学技術の研究能力を向上させ、市町村における科学技術システムの整備を確実に実施する。

 五、ネットワークを利用し、科学技術サービスを提供する社会的な仲介システムを構築する。科学技術サービスの仲介部門は規模が小さく、機能が単一、サービスの能力が弱い。これらの問題を解決するために、科学技術サービスを提供する仲介機関の育成と発展に努める。大学、研究機関及び民間の各研究集団が、科学技術の仲介サービスにおける役割を発揮し、科学技術の仲介サービス機関を専業化、規模化、規範化という方向に引導して発展させる。

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