中国ハイテク産業に関する俯瞰的、横断的、比較的な立体像の提供を目指しつつ、知的財産を尊重し、営業秘密を厳守し、信頼関係を大切にするサイト
TopPage編集要点一覧の森現地の風文化産業知財事情SiteMap
統計抜粋イベント日中マッチング広場レポート参考説明

ハイテク産業の起源:火炬計画|関連政策等の動向|参考メモ:日本の対中政策等


国家中長期科学技術発展規画綱要
転載元:WINEP

 目次 >

 全面的に小康社会を建設して社会主義現代化建設を加速する全体の局面から国家の科学技術長期発展規画の制定を求める第16回党大会の要求に基づき、国務院はここに本綱要を制定する。


一、序言

 新中国成立以降、特に改革開放以降、我が国の社会主義現代化建設は驚嘆に値する偉大な業績を得ることができた。同時に、我が国は、現在そしてこれからもまだ長い期間、社会主義の初級段階にあることを冷静に理解する必要がある。全面的小康社会を建設する過程では、歴史上の得難い機会に恵まれることもあれば、また一連の厳しい挑戦に直面することもある。経済成長は過度にエネルギー及び資源の消費に依存しており、環境汚染問題は深刻となっている。経済構造は不合理であり、農業の基礎は貧弱で、ハイテク産業と近代的なサービス業の発展は停滞している。自主創新の能力は弱く、企業の競争力も強くなく、経済効率を更に高める必要がある。雇用問題の解決、分配関係の調整、健康保障の提供、国家安全保障等の面においても、早急に解決を要する困難と問題が多くある。国際的には、我が国は長期にわたり先進国による経済、科学技術等の面における巨大な圧力に直面している。チャンスをしっかり掴み、挑戦を迎えいれるため、我々は多方面における努力を必要としており、全体が発展するように統率し、体制改革を深化させ、民主的な法律を整備し、社会管理を強化すること等が必要である。同時に、我々は如何なる時にも、さらに科学技術の進歩と創新を通じて、生産力を本質的に飛躍させ、経済社会の全体的、調和的、持続可能な発展を推進することが必要である。

 科学技術は第一の生産力であり、先進的な生産力を体現したシンボルである。21世紀に入ってから、新たな科学技術革命が急激に進展しており、新しい重大なブレークスルーが生まれており、経済社会の様相は大きく変革を遂げている。情報に関する科学技術が勢い良く進展しており、依然として経済成長を主導する力となっている。生命科学とバイオテクノロジーは急激に発展し、人間の生活の質を高めることに重要な作用を発揮している。エネルギーに関する科学技術は再びブームとなり、世界的なエネルギー環境の問題を解決する新しい道を切り開きつつある。ナノに関する科学技術はブレークスルーを次々と達成し、本質的な技術革命をもたらしている。基礎研究での重大なブレークスルーは技術と経済の発展に新たな将来性をもたらしている。科学技術の実用化の速度は不断に加速しており、新たなチャレンジと飛躍の機会をもたらしている。このため、我々は時代の先端に立って、世界的な観点から、新科学技術革命によってもたらされるチャンスと挑戦を迎えいれることが必要である。地球上を見渡すと、多くの国家は科学技術の創新を強化することを国家戦略としており、科学技術に戦略的な投資を行っている。科学技術への投入を大幅に増加し、ハイテクと戦略産業を育成し発展させ、重大な科学技術計画を実施し、国家の創新能力と国際競争力の強化に力を入れている。このような新たな国際的な情勢に対し、我々は強い責任感と緊迫感を持って、科学技術の進歩が経済社会の発展の最重要な推進力であることについての自覚と信念を確固たるものとし、自主創造能力を高めることによって経済構造を調整し、成長方式を変革し、国家競争力の源泉を高めて、創新型国家の建設を今後の重大な戦略として選択することが必要である。

 新中国成立後50数年になるが、この間の数世代に渡る苦難の奮闘を通じて、我が国の科学技術事業は鼓舞できるほどの大きな成就を達成した。「両弾一星」(注:原爆、水爆、衛星。水爆の代わりにミサイルとする説もある。)、有人宇宙飛行、交雑水稲、陸相成油理論と応用、高性能コンピュータ等を初めとする多くの重大な科学技術の成就を通じて、我が国の総合的国力は大きく増強され、我が国の国際的地位を高め、我々の民族精神を奮い立たせた。しかし、同時に、我が国の科学技術全体のレベルは、先進国と比較してまだ大きな差があることをも認識する必要がある。キーテクノロジーに関する自主開発の割合は低く、発明特許が少ない。いくつかの地域、特に中西部の農村において、技術レベルは依然として立ち後れている。科学の研究の質はあまり高くなく、抜き出た人材が不足している。また、科学技術への投入が不足しており、体制上の欠陥が多く存在している。現在、我が国は経済大国ではあるが、未だ経済強国とは言えない。その根本的な原因は、創新能力が薄弱であることにある。

 21世紀において、我が国は発展中の大国であり、科学技術の発展を加速し、先進国との差を縮小する必要があり、引き続き比較的に長い時期にわたる厳しい努力が必要であるが、同時に多くの有利な条件も持っている。1、我が国の経済の持続的な高度成長と社会の進歩は、科学技術の発展に対する大きなニーズを生んでおり、科学技術の発展の堅固な基礎となっている。2、我が国では、既に整った学科体系を作り上げており、また豊富な人材資源を持っており、一部の重要領域における研究開発能力は既に世界のトップレベルに達しており、科学技術の発展に対する基礎と能力を備えている。3、対外開放を堅持しながら、日に日に活発化する科学技術分野における国際的な交流と協力を通じて、新しい科学技術革命の成果を共有することができる。4、社会主義の制度を堅持し、重要事業に集中力を発揮する政治的な優位と資源の効率的な配分を可能とする市場メカニズムとを結合することにより、科学技術事業が繁栄・発展するため重要な制度上の保証を提供することができる。5、中華民族は5000年の文明史を持っており、中華文化は学識が広く、深くかつ寛容であり、更に独特な創新の文化を形成することができる。我々は民族の自信心を強め、科学的発展観を徹底的に実行し、科教興国(注:科学技術の進歩と教育(労働者の素質向上)によって国の振興を図る)戦略と人材強国戦略を実施して、奮い立って追いかけ、先頭に追いつく努力をし、15年又は更に長い時間どこまでも耐え抜く刻苦奮闘をすれば、必ず時代に恥じない光り輝く科学技術の業績を創造することができるだろう。

     
目次 >
二、指導方針、発展目標と全体計画

1.指導方針

 今世紀はじめの20年は、我が国の経済社会発展の重要なチャンスの時期であり、また、科学技術発展の重要なチャンスの時期である。ケ小平理論と「三つの代表」重要思想を指導理念とし、科学的発展観を全面・貫徹して確実なものにし、全面的に科教興国戦略と人材強国戦略を実施し、国情に立脚し、人を基本にし、改革を深め、開放規模を拡大し、我が国の科学技術事業の発展を強力に推進して、全面的小康社会の目標、調和のとれた社会主義の社会建設の実現のため、科学技術による支援を強力に提供する。

 今後15年、科学技術に対する指導方針は次の通り:自主創新、重点跨越、支掌発展、引領未来(注:順に、自主創新、重点飛躍、発展支援、未来を導く)。自主創新とは、すなわち国家創新能力を増強することであり、また原始創新、集成創新を強化し、技術を導入し、消化し、吸収し、再創新することを強化することである。重点跨越とは、「為す所あり、為さざる所あり」を堅持し、一定の基礎と優勢を備えているもの、国の経済及び人民の生活や国家安全に関係のある重要領域を選択し、力を集中し、重点突破し、乗越え式の発展を実現することである。支掌発展とは、現実の緊迫したニーズから出発し、重大なキーテクノロジーや共通性技術の突破に力を入れ、経済社会の全面協調による持続可能な発展を支えることである。引領未来とは、長期を見て、予め基礎研究及び先端技術を手配し、新しい市場ニーズを創造し、新型産業を養育し、未来の経済社会の発展を導くことである。この方針は我が国の半世紀あまりを重ねた科学技術の実践経験の総括であり、未来に向け中華民族の偉大な復興を実現させるための重要な選択である。

 自主創新能力の向上は、全ての科学技術関係の政策のトップに置かれるべきである。党と政府はかねてから自主創新を重視し提唱している。対外開放の条件下で社会主義現代化建設を進めるには、人類の優秀で文明的な成果を真剣に参考にすることが必要である。改革開放後の20数年来、我が国は大量の技術と設備を導入して、産業の技術レベルの向上、経済発展促進に対し重要な役割を果たした。しかし、技術の消化、吸収及び再創新を重視することなく技術導入のみを行うことは、自主的な研究開発の能力を弱め、世界の先進レベルとの差を拡大させる結果となるということを、冷静に理解することが必要である。事実、国民の経済の生命線や国家の安全に関係する重要領域において、本当の重要技術を買うことはできない。我が国が激烈な国際競争の中で主導権を持つには、自主創造能力を高めることが必須である。また、いくつかの重要な領域でいくつかの重要技術を掌握して、いくつかの自主的な知的所有権を持って、いくつかの国際競争力を持つ企業を育成しなければならない。要するに、自主創造能力を高めることを国家戦略にし、それを現代化建設の全ての局面において徹底し、また各産業、各業界及び各地域まで徹底して、国家の競争力を大幅に向上させる必要がある。

 科学技術人材は、自主創造能力を高める上で鍵となる存在である。良好な環境と条件を整備し、各類の科学技術人材、特に優秀な人材を育成することは最も重要である。科学技術者の積極性と創造性を最大限に引き出し、科学技術上の重要任務を遂行させるとともに、人材の輩出、能力の発揮し、能力の活用が十分に行われる良好な仕組みの構築に向けて努力をしなければならない。経済社会の発展と国防の建設とが相互に適用できる領域を拡大すること、及び高素質の科学技術人材の一群を合理的な編成することに努め、我が国の科学技術の発展のために十分な人材上の支援と知力の保証とを提供する。

2.発展目標

 2020年までの、我が国の科学技術の発展の全体目標は次の通り:自主創新能力を顕著に高め、科学技術によって経済社会の発展と国の安全保障の能力を顕著に高め、小康社会の全面的な建設における力強い支柱とする。基礎科学と先端技術分野の研究における総合的実力を顕著に高め、世界に重大な影響をもたらす研究成果を複数上げ、創新型国家の仲間入りをし、今世紀中頃に世界の科学技術強国になるための基盤を固める。

15年間の努力によって実現すべき我が国の科学技術上の重要目標は次のとおり:1、国家の競争力に関わる設備製造業と情報産業の重要技術を掌握し、製造業と情報産業の技術レベルが世界のトップレベルになる。2、農業分野での科学技術の総合実力が世界のトップレベル入りし、農業の総合生産能力の向上を促進して、効果的に国家の食糧安全を保障する。3、エネルギーの開発、省エネ技術、クリーンエネルギー技術等においてブレークスルーを果たし、エネルギー構造の最適化を促進し、主要工業製品のエネルギー消費指標が世界の先進レベルを達成するか又は接近する。4、重点業界や重点都市において循環経済型の技術発展モデルを構築し、資源節約型・環境友好型社会を構築するための科学技術上の支援を提供する。5、重大な疾病の予防と治療レベルを著しく向上させる。エイズ、肝炎等の重大な疾病が抑制され、新しい薬の開発と重要な医療器械の開発にブレークスルーを果たし、産業として発展するよう技術力を備える。6、国防科学技術が近代的武器の自主的開発と情報装備化のニーズを基本的に満たし、国家安全保障の提供を支える。7、世界レベルの科学者と研究チームが絶えず輩出され、科学の発展上の主流において大きな影響がある創新の成果を獲得し、情報、バイオテクノロジー、材料及び宇宙等の領域の先端技術が世界的先進レベルを達成する。8、世界で一流の科学研究機構と大学、及び国際競争力ある企業研究開発機関を設立し、中国の特色のある国家創新体系を形成する。2020年までに次を達成する。国全体の研究開発投入の対GDP比率を2.5%以上、科学技術進歩貢献率を60%以上、対外技術依存度を30%以下、発明特許件数及び国際科学論文の被引用件数の両方で世界5位以内。

3.全体計画

 今後の15年間における我が国の科学技術の発展の全体計画は次の通り:1、我が国の国情とニーズに立脚して、重点分野を定め、重大なコア技術を獲得し、科学技術サポート能力を全面的に高める。本綱要では、11の国民経済社会の発展に関わる重点領域を確定しており、その中から任務を明確にした上で、近い将来に技術のブレークスルーの実現が可能な68項の優先的なテーマを重点的に掲げる。2、国家目標に狙いを定め、重大特定プロジェクトを実施し、飛躍的な発展を実現し、空白を埋める。本綱要では、16項目の重大特定プロジェクトを掲げる。3、将来の課題に対応し、先端技術と基礎研究を前倒しして計画し、持続的な創新能力を高め、経済と社会の発展を導く。本綱要は8件の技術領域の27項の先端技術、18項の基礎科学課題、4項の重大科学研究計画に重点をおく。4、制度改革を深化し、政策措置を整え、科学技術投資を増やし、人材育成を強化し、国家創新体系の構築を推進し、創新型国家入りに向けた万全の保障を整える。

 全面的小康社会を建設するための喫緊のニーズ、世界の科学技術の発展の趨勢及び我が国の国力に基づき、次の科学技術の発展のための戦略的重点を確実に実行する。1、エネルギー、水資源及び環境の保護技術の発展を優先課題とし、経済社会の発展を制約する重大なボトルネックの問題を解決する。2、今後、情報技術のモデルチェンジと新しい材料技術の急激な発展の貴重なチャンスを把握して、設備製造業及び情報産業の重要技術について自主知財権を獲得することを、我が国の産業競争力向上の突破口とする。3、バイオテクノロジーを未来のハイテク産業としてトップレベル到達を目指すこととし、農業、工業、人口及び健康等の領域での応用を強化する。4、航空、宇宙及び海洋技術の発展を加速する。5、基礎科学及び先端技術研究を強化する。特に学際的な分野の研究を強化する。

目次 >



All Rights Reserved
利用規約免責事項個人情報広告出稿お問合せ