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セミナー『中国におけるコンテンツビジネスを考える』に参加して
原稿&写真: By CHBW 石毛


 


 2009年2月10日、財団法人デジタルコンテンツ協会の主催による専門家交流中国セミナー『中国におけるコンテンツビジネスを考える』が、東京都千代田区半蔵門にて開催された。同セミナーは平成20年度経済産業省受託事業/アジア地域におけるコンテンツ流通促進事業として開催されたものであるが、セミナーへの参加申し込みが締め切り前早々に満席となったことからも、コンテンツビジネス関係者達の中国への関心度の高さが伺える。

 セミナーでは、初めに経済産業省商務情報政策局文化情報関連産業課課長補佐 高尾啓士氏からご挨拶があり、改革開放・連携促進を推し進める中国が日本のコンテンツ産業に高い関心を示しているという背景と、その一方で規制や厳しい審査の壁に直面している実態について述べられた上で、一つの課題として「日本は中国に進出するきっかけがなかなかつかめずにいる」という指摘をされた。そのような背景において、たとえ小さくても成功事例を作り出せるよう、中国のみならずアジア地域を念頭に置いた支援を継続していくとの姿勢を述べられた。

 次に、立命館大学映像学部准教授 中村彰憲氏が『中国におけるアニメーション産業の現状とコラボレーションの可能性』と題し、「生産力」「生産システム」「オリジナルタイトルの創造」「ブリッジパーソン」という4つの観点から、中国におけるアニメーション産業の実態を掘り下げた。中村氏は中国内の「国家動画産業基地」やアニメ教育機関・制作会社数、出版作品総時間数に言及し中国の生産力やシステム構造を「急上昇・堅固」とした上で、日本とのコラボレーションの可能性について、中国国民独自の嗜好に乗っ取った武侠ものやキャラクターものの展開に活路があるとの意見を述べた。また最大の課題として、中国人材や企業との接し方に精通し、SWOT分析能力の高い「ブリッジパーソン」の育成が必須であるとまとめた。

 続いて、森・濱田松本法律事務所弁護士 遠藤誠氏が『中国コンテンツビジネスにおけるリスクとその回避方法』と題し、まず「付加価値電信業務経営許可証(ICP許可証)」等に言及しながら一般的な法規制リスクを、また具体的な海賊版の事例を引用しながら中国における知的財産権侵害・海賊版問題のリスクについて語られた。更に、昨今では大きな問題となっている商標の冒認出願(駆け抜け登録)問題について数々の事例を用いて述べ、その場合に取るべき方策について触れながら、中国における商標登録の重要性を強く説いた。

 最後のパネルディスカッションでは、上記の二名に加え、株式会社中藝代表取締役プロデューサーである陶力氏、漫画家の真壁太陽氏、漫画家・クリエイターである茶谷明茂氏をパネラーとして迎え、活発な意見交換が行われた。パネラー陣は今年1月に中国のコンテンツ制作会社や配信会社を訪問してきたとのことで、実際に現場に赴いて知った中国アニメーション産業の特長、技術の高さ、外資アニメーションに対する規制の厳しさ等について思い思いの意見を述べるとともに、ブリッジパーソン育成等、今後への期待を示された。

 現実として、中国コンテンツ産業への進出には規制や知的財産権問題という難しい壁も多いと言えるが、行政的な変化を通して新たなインフラも確実に建設されてきており、今後、コンテンツビジネスの可能性や潜在性はますます高いものになると言えるであろう。




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