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ビジネスモデル「探険」談 By 張 輝
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第50回 実務と研究の「壁」を破っていこう


 社会人経営大学院生に向けた拙著『実務と研究の「壁」をどう破るのか〜前特任教授による56の特別メモ〜』(NextPublishing Authors Press)が発売されてから、早くも4カ月が経った。アマゾン書籍案内のところに書かれたコメントのほか、私宛のメールで質問や感想、または誤植の指摘なども多数あって、実に有難く感謝しなければならない。

 昨今、いわゆる社会人大学院は150校を超え(文部科学省、平成27年7月現在)、MBAだけでも毎年の取得者が5,000人規模に上ると言われる中、講義用のテキストは増えつつあるとは言える一方、この社会人教育を巡る書籍は非常に少ないのが現状となっている。

 拙著は、MBA/MOTの社会人大学院生がぶつかるだろう「壁」に着目し、そこでよく悩むと想定される、実務と研究の壁とは何か、これらの壁をどう破っていくのか、破って何を期待するか、について、実務と研究の二足の草鞋を履く一人としての筆者の考えを一部公開するものである。目の前を覆う霧の中で日々奮闘しているかのような社会人経営大学院生への一助に繋がればと切に願う。


   
          
      

 具体的には、実務と研究の関係性を基調に置きつつ、著者個人的な体験も交えながら、MBA/MOTの学位が授与されるための重要な卒業要件になる「ビジネスプランの策定」と「研究論文の執筆」をめぐって、「なぜ」に留意しながら、必要と思われる前提認識、持つべき視点や実践的手法などに、図解、プレゼンテーション、文章、注記などとの関係についても、長年の膨大なメモなどから抽出した56の特別メモとして、筆者なりに整理してみた。

 思えば、実務と「理論」の関係性については、一般に実務者と大学教員/研究者という異なる従事者のそれぞれが行う前提に考えられるものが多く、分かりやすいが、実務と「研究」の関係性について、同一の実務者によって行う場面を考えられるものはいまなお非常に少ない。これは、社会人大学院に入学された前期課程の方々の多く(9割か)は研究者になることではなく、現場に戻られて活躍される、ということを踏まえて考えると、やはり検討を続けていくテーマの一つになるのではないか、と思う。

 初めてビジネスプランの策定や研究論文の執筆に挑戦するときになぜなかなかうまく行かないのか。多くの社会人院生達のつまずきや混乱に向き合ううち、実は「実務」と「研究」との違い、ある意味でこれは一種の「壁」というべきか、にあまりよく理解できていないことが一因ではないか、と思い至った筆者である。社会人教育のジレンマの根底にあるものとは何なのか、研究と実務の望ましい相互作用をもたらすものとは何か、業界の垣根を越えた昨今に求められる力とは、などについて、今後も考え続けたい。

張輝著『実務と研究の「壁」をどう破るのか』アマゾン


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