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ビジネスモデル「探険」談 By 張 輝
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第32回 Uberのビジネスモデルの二つのポイント


 配車アプリサービスを提供するUberは、企業価値5兆円で、5年で50か国以上に進出するという急成長を果たしており、今、最も注目されるベンチャー企業の一つである。いったいなぜ、Uberが世間に注目されているのだろうか。

 その秘密について、「洗練された顧客体験、シェアリングエコノミーの潮流から生まれた『ライドシェア』の仕組み、輸送ネットワークの確立」という3つの観点からの分かり易い考察(佐藤隆之、ビジネス+IT)が存在し、共感するところは多いが、筆者はマーク・ジョンソン氏がいうビジネスモデルの「四つの箱」論という観点から、Uberのビジネスモデルのポイントについてみてみたい。

 いうまでもないが、Uberの基本的なマネタイズの仕組みはシンプルであり、運転手からの仲介料によって利益をあげている。利用客がクレジットカードで支払った運賃から、仲介料20%を除いた乗車料金がUberから運転手に支払われる、というものである。

 この仕組みにあるポイントの一つは、個客力の強さであり、個客に対し提供する体験価値や便利さなど(いわゆる「顧客価値」)への徹底的な追求である。ユーザーインタフェースが洗練されており、煩わしい操作は必要ない。アプリを使って自分の好みの車を予約したら、正確な時間と場所に車が迎えに来る。事前に登録したクレジットカードで運賃を支払うため、手間取ることがない、だけではなく、運転手と利用客が直接料金の授受を行うことを防ぎ、Uberも仲介料を確実に得る。



Uberのマネタイズの仕組み(出典:高橋博伸)



 
 またUberでは、タクシー乗車後に乗客が担当ドライバーの運転・サービスを評価するシステムを採用しており、同様に運転手も、他の同僚の運転手によって格付けされた顧客情報を事前に把握した上で、乗客のピックアップを行える。このようにUberでは、常にサービスを改善しながら、カスタマーエクスペリエンスを向上させている。

 もう一つのポイントは、やはりIT技術の発達に支えられているということである。「四つの箱」論でいう主要業務プロセスや主要経営資源に深い関係にあるITの活用がなければ、そのようなビジネスモデルが機能しないだろう。逆に今日では、スマホなども大きく発達しつづけていることから、このUberのビジネスモデルには一層発展していく可能性も秘められている、と期待できよう。

 なお、ビジネスモデルの構造化という観点からは直接関係しないが、このUberのビジネスモデルを取り巻く事業環境的な要因として、シェアリングエコノミーの広がりという時代の流れが背景にある、と言われているのは確かである。シェアリングエコノミーの流れは、スマートフォンの発達によって促進された側面があり、スマホからあらゆるモノ・サービスを動かせる世界へと行くのではないか、とも予測されている。

 Uberのビジネスは、タクシーやハイヤーの配車だけにとどまらず、今後はなぜ、どこまで、どのように発展/変身して行けるのか、遭遇するだろう事業課題とはどのようなことなのか、国ごとの特質を踏まえたうえで効率的な多様な展開には何が不可欠なのか、これからも注目していきたい。


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