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第13回イブニングセッション 新しい健康科学の考え方
〜身体をつくる細胞と制御する脳、適応・進化から考える〜
講師:跡見 順子氏
投稿&写真:今村 新
 



 2014年1月28日夕方7時、霞ヶ関ナレッジスクエア エキスパート倶楽部にて、ビジネスモデル学会主催第13回イブニングセッションとして、東大名誉教授・東京農工大教授の跡見順子(よりこ)氏の「新しい健康科学の考え方ー身体をつくる細胞と制御する脳、適応・進化から考える」という講演がなされた。

 跡見氏による講演の直後に、神戸・理化学研究所の小保方晴子さんが「STAP細胞」で動物細胞の新たな力(弱酸性溶液で万能細胞に初期化されること)を発見と報道され、研究発表したニュースが巷を駆け回っている。跡見氏の講演とともに、細胞科学の面白さ、動物細胞の持つ深遠な力に驚嘆させられることになった。今回の講演は、日頃のビジネスで凝り固まった頭を柔軟にするとても楽しい講義をして頂いた。以下、筆者なりの理解した要旨を記しておきたい。

・健康な体で長生きするには?そもそもに戻って、身体(からだ)をつくる細胞と制御する脳、その適用と進化を考えることから始めるべきである。

・ゲノム(DNA)解析の研究成果から、何でもゲノムで決定しまうといった論に偏った一般常識が流布しているが、DNA配列で自分の体が全て決まってしまうという考え方は間違い。DNAに欠損が有る方でも、それを修復する細胞のメカニズムで、一般の方々より、長生きすることも実証研究されている。

・40億年の生命の歴史の中で、細胞への外的な刺激の結果、細胞自体が適応変化し進化してきたことで、今の「私のからだ」(細胞学的に120才まで生きれる身体)になっている。

・欠損したDNAを補修する細胞のしくみとは、適度なソフト・ストレスからストレスタンパク質」を作り出す力を持ち、動的で不安定な細胞同士が「細胞骨格」で自身を保ちながら、ストレスタンパク質の力で他の細胞とつながり、お互いに呼応してストレッチし合うことで、外的ストレスに適応し欠損した機能を補完修復していく。これらと同じようなしくみにより、長い歴史の間で、細胞自体がストレスへの適用をして、「からだ」そのものが進化を遂げてきた。

・ここで注目すべきことは、組織が先に有ってそのための細胞があるのではなく、「細胞自体が組織を後から作っていく」というメカニズムである。その細胞自体が健康であるためには、このストレス=ソフトなストレッチ(運動)が継続的になければいけない。ストレスが無い状態、もしくは、ソフトではないハードな局所的なストレスが続くと、細胞はやる気が無くなって固くなる。これが「老化やガン」であり、アルツハイマーである。

・こういった「からだ」のシステマチックな応答を、身近な自分のからだで、脳、そして細胞や遺伝子を理解出来る時代となった。動的なからだ(生命)の本質を時間的な変化(運動)として理解するには、自分で運動をしてみればよい。努力や習慣として「からだ」で生活を営んでいくことは、「からだ」を脳で主体的に実感し、客観的に「理(ことわり)」を学ぶことになる。運動が出来るように私達の「からだ」が作られていることを知り、「そこから科学と生命に出会い、自分の「からだ」を自らの下に取り戻し育てていくことが大切であり、健康で長生き出来ることになります(跡見氏)!」云々・・・。

 自分の細胞ってスゴイのだということに気づき、元気が出る講演でした。 
講演者 跡見氏

















投稿&写真:今村 新
モバイルコンピューティング推進コンソーシアム(MCPC)
シニア・モバイルシステムコンサルタント(SMC)
  立教大学大学院 博士課程前期

 
 (左)参加者が熱心に聴講中  (右)講演を臨む跡見氏

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2010年10月02日 in 東京大学






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